容量が大きすぎる場合の応急処置として、多くの解説サイトが推奨してきたのがファイル圧縮zip作成方法です。Windowsであれば対象ファイルを右クリックして「送る」から「ZIPファイルに圧縮」、Macであれば「〜を圧縮」を選択するだけの簡便な手段です。
しかし、現代のビジネスシーンにおいて「とりあえずZIPにして送る」という行為は、2つの決定的なリスクを抱えています。
第1の盲点は、ファイル形式による圧縮率の限界です。Word文書やプレーンテキストファイルであればZIP圧縮によって容量を30〜50%程度削減できます。しかし、日常業務で添付される機会が多いJPEG/PNG画像、MP4動画、すでに内部で高効率圧縮されているPDFや最新のOfficeファイル(.xlsxや.docx)は、ZIP化しても数%程度しか容量が減りません。「ZIPにしたから大丈夫」と過信して送信しても、実データサイズはほとんど変わっておらず、相手のゲートウェイで弾かれる結果となります。
第2の盲点は、セキュリティ上の脱PPAP対策と代替手段の広がりです。かつて日本企業の間で慣習となっていた「暗号化ZIPファイルをメールで送り、別メールでパスワードを送る」手法(PPAP)は、2020年秋のデジタル庁方針発表以降、急速に廃止が進みました。2026年現在、主要な大手企業や官公庁のメールゲートウェイでは、ZIPファイルそのものが悪意あるマルウェア(Emotet等)の潜伏先になりやすいと判断され、添付された時点で自動隔離・受信拒否される設定が標準化しています。
「圧縮したから相手のサーバーに届くはず」という認識は、技術的にもセキュリティ的にも完全に過去の遺物となっているのです。