どれほど期限内の薬であっても、保管環境が悪ければわずか数週間で劣化が進んでしまいます。添付文書に頻出する「冷暗所に保管」というフレーズですが、その正確な定義を誤解しているケースが後を絶ちません。
日本薬局方における温度規定では、室温は1〜30℃、冷所は1〜15℃と定義されています。特に「冷所保存」と指定されていない一般的な錠剤やカプセル剤、粉薬を、安易に冷蔵庫へ入れて保管するのは避けるべきです。
冷蔵庫から室内へ薬を取り出した際、急激な温度差によってPTPシートの内部やボトルの内壁に微細な結露が発生します。この水分を薬が吸収することで、主成分の加水分解やカプセルの軟化、粉薬の固化が一気に加速します。結露の繰り返しは、薬の寿命を急速に縮める最大の要因です。
薬の正しい保管場所は、「直射日光が当たらず、湿気が少なく、室温(1〜30℃)が保たれる場所」です。湿度の高い洗面所や台所、直射日光で高温になる窓際、夏場に異常な高温に達する自動車のダッシュボードなどは最悪の環境と言えます。密閉性のある救急箱に乾燥剤と共に入れ、風通しの良いリビングの棚や引き出しに収めるのが最も確実な管理手法です。