学校で習う歴史教科書は、往々にして勝利者の論理や政権側の都合によって編纂された「公然の事実」をベースに構成されている。しかし、そこには決定的な視点が欠落していると井沢元彦氏は警鐘を鳴らす。それが「怨霊信仰」「穢れ(けがれ)の忌避」「言霊主義」という、日本人の精神を根底で縛ってきた3つの文化的禁忌だ。
2026年現在の最新の史論・歴史考察においても、この視点はかつてない重要性を帯びている。近代化を果たしたはずの現代日本においても、空気の支配や議論の回避、失敗の責任をうやむやにする体質は変わっていないからだ。教科書が教えない歴史の真相とは、単に事件の裏側を知ることではない。過去の出来事を通じて、現在の私たちが無意識に囚われている「思考の枠組み」を自覚することにある。歴史の表舞台から消し去られた敗者の怨念や、当時の人々が真に恐れていた宗教的タブーを読み解くことで、初めて通説の盲点が見えてくるのだ。