博物館の核となる「カラクリ忍者屋敷」に足を一歩踏み入れると、一見ごく普通の農家にしか見えない建造物が、実は精巧な防衛機構の塊であることに目を見張る。壁が瞬時に回転する「どんでん返し」をはじめ、中からしか開かない隠し扉、床下に仕込まれた刀隠しなど、外敵の襲撃を想定した罠が縦横無尽に張り巡らされている。くのいち(女性忍者)の案内によって目の前で実演されるそれらのカラクリは、過酷な乱世を生き抜いた人間の切実な知恵そのものだ。
併設された忍者伝承館には、実際に戦現場や諜報活動で用いられた本物の忍具が整然と並ぶ。水上を移動するための「水蜘蛛」や、実用的に鍛え上げられた鉄製の手裏剣、さらには秘密裏に消息を伝える暗号文書に至るまで、400点を超える貴重な資料を展示。派手なエンターテインメントとは一線を画す、泥臭くも圧倒的に合理的な伊賀流忍術の神髄がそこに息づいている。