医学的・温泉学的な見地から見ても、別府保養ランド 泥湯の効能は突出しています。地下深くで熱水と火山ガスが粘土層と混ざり合って形成される鉱泥には、硫黄成分をはじめ、ケイ酸、カルシウム、アルミニウムなどの無機塩類が濃密に含まれています。
その最大の魅力として語られるのが、泥パック美肌効果です。きめ細やかな鉱泥粒子が皮膚表面の古い角質や毛穴に詰まった皮脂汚れを強力に吸着し、酸性泉のピーリング作用と相まって、湯上がりには肌が驚くほどツルツルになります。また、泥の高い比重によって入浴中に体がフワリと浮き上がる独特の浮遊感は、全身の筋肉の緊張を解きほぐし、深いリラクゼーションをもたらします。
温泉分析書や湯治の伝承において指摘される主な適応症は次の通りです。
- 皮膚疾患:慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、ニキビ跡
- 運動器・神経系:慢性関節リウマチ、神経痛、筋肉痛、五十肩、腰痛
- 循環器・内分泌系:末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症、疲労回復
しかし、薬効が極めて高いということは、同時に生体への刺激も強烈であるという表裏一体のリスクを意味します。現場で絶対に避けるべきNG行為が、「泥を顔一面に塗りたくって天日で乾かす行為」です。
露天風呂で見よう見まねで泥パックを行い、泥がカピカピに乾燥するまで日光を浴びている観光客を見かけますが、これは極めて危険です。乾燥する過程で肌の水分が過剰に奪われ、強酸性の硫黄成分が角質層を過剰に刺激するため、湯上がりに激しい赤みや湿疹、肌荒れ(いわゆる湯ただれ)を引き起こす原因になります。泥を肌に塗る場合は、首から下の目立たない部分に薄く伸ばし、乾燥する前の2〜3分程度で優しく洗い流すのが医学的にも正しい入浴法です。
さらに、貴金属類への影響も見過ごせません。硫化水素ガスが充満しているため、シルバー製のネックレスや指輪はわずか数十秒で真っ黒に変色します。金やプラチナであっても合金の微量成分が反応して劣化する恐れがあるため、脱衣所に入る前にすべてのアクセサリーを外しておくことが鉄則です。