普段私たちが何気なく呼んでいる「ダンデライオン(Dandelion)」という英語名は、フランス語の「dent-de-lion(ダン=ド=リオン/ライオンの歯)」に由来しています。
可憐な黄色い花からは想像がつきにくい名前ですが、注目すべきはその「葉の形」です。地面に放射状に広がる葉の縁には、深く荒々しいギザギザの切れ込みがあり、それがまるで百獣の王ライオンが鋭い牙を剥き出しにしている姿に見えることから名付けられました。中世フランスの植物学者たちによる観察眼が、そのまま英語圏に輸入されて定着した歴史を持ちます。
一方、日本古来の呼び名である「蒲公英(タンポポ)」は、茎の両端を細かく裂いて水につけると反り返る玩具「鼓(つつみ)」を叩いたときの「ぽんぽん」という擬音に由来するという説が有力です。西洋では「強靭な牙」、東洋では「親しみやすい音」に着目したという文化的背景の違いも、植物史における非常に興味深い対比といえます。