フォッサマグナという巨大な溝がなぜ日本列島の真ん中に生まれたのか。その謎を解き明かす鍵は、地球規模の地殻変動を説明するプレートテクトニクス理論にあります。
今から約3000万年前、現在の日本列島は独立した島国ではなく、ユーラシア大陸の東端にぴったりと張り付いていました。しかし約2000万年前から1500万年前にかけて、大陸の地下からマグマの上昇流(プルーム)が発生し、地殻が東西に引き裂かれ始めます。このとき大陸から分離した地塊が、日本海を押し広げながら「観音開き」のように移動しました。
この分裂の際、東北日本は反時計回りに約50度回転し、西南日本は時計回りに約45度回転しながら太平洋側へと押し出されました。その結果、引きちぎられた両者の真ん中に、幅数百キロメートル、深さ数千メートルに及ぶ巨大な「海の割れ目(地溝帯)」が取り残されたのです。これこそが初期のフォッサマグナです。
当時、フォッサマグナの場所は深い海底でした。そこに周囲の山々から削られた大量の砂泥や海底火山の溶岩が堆積していきました。その後、南方からフィリピン海プレートに乗って伊豆半島となる火山島(伊豆弧)が北上し、本州に激しく衝突します。さらに東西からの強い圧縮応力(ユーラシアプレートと北米プレートのせめぎ合い)が加わったことで、海底に沈んでいたフォッサマグナの地層がグニャグニャと折り曲げられ(褶曲)、一気に隆起して現在の本州中央部の陸地・山岳地帯が完成しました。