1988年、山口智子に決定的な転機が訪れます。NHK連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』のヒロインオーディションにおいて、応募総数2000人を超える難関を突破し、見事に主役・小野純子役に選ばれたのです。演技経験がほぼ皆無だった彼女の起用について、当時の制作統括は「技術を超えた生命力と、見ている人を前向きにさせる天性の明るさ」を決めてとして挙げました。
この撮影現場は、彼女の人生における最大のパートナーシップをもたらしました。後に夫となる唐沢寿明との出会いです。当時、唐沢もまた下積みを経て役者としての階段を駆け上がっていた時期であり、純子の義弟・林雄太役として出演していました。撮影の合間、演技のプレッシャーや将来の不安を分かち合う中で二人は急速に距離を縮めていきます。
1995年の結婚発表に至るまで、二人は互いの仕事を尊重し合う対等な関係を維持し続けました。モデルから女優への過渡期において、同じ志を持つ表現者と出会えたことが、彼女の精神的な軸をより強固なものにしていったのです。