「モデルとしての自分が求められているのは嬉しい。けれど、このままでいいのだろうか」——20代後半を迎えた彼女の頭をよぎったのは、モデルという職業の持つ年齢的な限界と、表現者としてのさらなる可能性だった。当時、広告やCMで年間何本もの契約を抱えていた売れっ子モデルが、30歳を目前にして一から芝居の世界に飛び込むなど、リスク以外の何物でもなかった。
ブレイク前の下積みとも呼べるこの時期、吉瀬は周囲の引き止めを押し切り、モデル業界での地位を捨ててでも女優へ転身する覚悟を固める。当時の秘話として語られるのは、彼女が退路を断つために下した「モデル業の完全休止」という決断だった。安定したモデル収入や実績を手放し、一人の新人女優としてオーディションを受ける道を選んだことこそが、知られざる彼女の最大の転換点である。