発火点は、あまりにも無防備な夜の配信だった。スタジオの照明も、台本も、マネージャーの影すらない。薄暗い自室らしき場所から届けられたボソボソとした語り口は、従来のプロモーションが費やしてきた数千万円の宣伝費をあざ笑うかのように、瞬く間に数万人の同時接続を記録した。
予定調和を嫌う今のオーディエンスは、作り込まれた笑顔の裏にある「演出」を即座に見抜く。彼女が放つ言葉には、整えられていない痛快さがあった。言い淀みや沈黙、時折見せる投げやりな視線。そのすべてが、フィルター越しではない生の人間と対峙しているという錯覚を画面の向こう側に植え付けたのだ。