実写版がここまでの熱狂を生み出した原動力として、当時20代前半を迎えていた戸田恵梨香の鬼気迫る名演を語らずにはいられません。映画・ドラマのレビューサイトやSNSアーカイブを検証すると、放送開始当初とシリーズ終盤で、視聴者の受け止め方に劇的な変化が起きていたことが分かります。
Season1の初期段階では、あまりにも無警戒に騙され続ける直の姿に対し、「観ていてイライラする」「自己責任で借金を背負っているのに甘すぎる」といった手厳しい声が少なくありませんでした。現実に即したシビアな心理サスペンスを期待する層にとって、直の純粋さは物語のブレーキに見えた側面があります。
しかし、松田翔太演じる秋山の冷徹なロジックと、戸田恵梨香が見せる感情の揺らぎ――涙をこぼしながらも他者を信じようと懇願する眼差しの力強さ――が噛み合うにつれ、評価は180度反転しました。信じた相手に裏切られてなお、傷だらけになりながら立ち上がる直の姿に、視聴者は「イライラ」ではなく「畏敬の念」を抱くようになったのです。
業界内でも、鈴木浩介演じる福永ユウジの過激な狂言回しや、圧倒的な頭脳戦の中で埋没することなく、作品の良心としてのポジションを確立し続けた戸田恵梨香の表現力は「彼女以外には演じ得なかった奇跡のキャスティング」として高く評価されました。