知的でクールなエリートというパブリックイメージの一方で、私生活や側近に見せる素顔にはユーモアと人間味があふれていました。学生時代に出会った妻・文代(ふみよ)さんは、英語に堪能で社交性に富み、国際派の宮澤を生涯にわたって献身的に支え続けました。家庭内では妻に頭が上がらない愛妻家の一面も覗かせていました。
宮澤の言葉には、深い教養に裏打ちされた鋭い名言が数多く存在します。「政治家は次の世代のことを考え、政治屋は次の選挙のことを考える」という名句を引用して自らを律し、常に国家の長期的な針路を見据えていました。また、財政規律と経済成長のバランスについて問われた際には、「景気の気は気分の気」と語り、市場心理の機微を突いた発言を残しています。
趣味の読書においては、洋書の原著を速読で読み漁り、クラシック音楽を愛好するなど、文化人としての深い造詣も知られています。政策論争で見せる鋭利な論理展開の裏には、豊かな教養と人間に対する深い洞察が存在していました。