松居一代の育児を語るうえで外せないのが、長男・隆一氏が幼少期に抱えていた重度のアトピー性皮膚炎だ。彼女は息子の皮膚病を治すため、あらゆる医療や食養生を試し、自作の布団や食事療法に情熱を注ぎ込んだ。その壮絶な闘病記は書籍化もされ、多くの母親たちの共感を集めた。
映画『マルサの女』で見せた情熱的な演技と同様、彼女の行動力は常に限界を知らない。命がけで息子を守り抜いたという自負があるからこそ、息子の成長に伴う「親離れ」を受け入れることが容易ではなかったのだろう。強烈すぎる母性愛は、時に子供にとって重圧となり、後の確執の芽を生み出すこととなった。