松を美しく、かつ健康に保つための松の剪定時期は、基本的に「春」と「秋〜初冬」の年2回存在します。それぞれ作業目的と手入れの対象がまったく異なるため、明確に区別して進める必要があります。
4月下旬から5月にかけて行うのが、新芽をコントロールするみどり摘みの手順です。この時期、枝先から黄緑色の柔らかい棒状の芽が、まるでロウソクのように天に向かって何本も突き出してきます。これが「みどり(新芽)」です。これを放置すると枝が間延びして樹形が崩れるため、以下のステップで芽摘みを実施します。
- 芽の吟味:1箇所から複数本(3〜5本程度)伸びているみどりの中から、最も強い中心の芽や立ち上がった芽を選定する。
- 手で折る原則:みどりは金属の剪定ばさみを使わず、親指と人差し指でつまんで根元または中間から横にポキッと折り取る。刃物を使うと切り口が酸化して赤褐色に変色し、美観を大きく損なうためである。
- 強弱の調整:強い新芽は半分から3分の1程度に短く折り、逆に周囲の弱い芽はそのまま残すか先端を軽く摘む程度に留める。こうして樹勢を均一に揃えることで、夏以降に均整のとれた2番芽(小枝)が吹き揃う。
そして10月から12月(寒冷地では雪が降る前)にかけて行うのが、本剪定とも呼ばれるもみあげのやり方と枝の整理です。「もみあげ」とは、前年以前から残っている茶色く変色しかけた古い葉(古葉)をしごき落とし、当年生息した新鮮な葉だけを枝先に残す伝統技法を指します。
作業時は皮手袋などを着用し、枝の根元側から先端に向かって指先で挟むように撫で上げると、役目を終えた古葉がパラパラと落ちていきます。先端に残す葉の枚数は、強い枝で7〜8対(14〜16本程度)、日当たりの悪い下枝や弱い枝では10〜12対と、日照条件と樹勢に応じて微調整するのがプロの基本です。古葉を落とした後に、余分な混み合った小枝を間引く「透かし剪定」を施すことで、樹冠の内部深くまで冬の柔らかな日差しと風が通るようになります。