「お金のために働くのは不謹慎ではないか」という罪悪感は、一体どこから生じるのでしょうか。その背景には、長年にわたり日本社会に刷り込まれてきた「やりがい信仰」と、企業側が都合よく利用してきた情緒的ロジックが存在します。
高度経済成長期からバブル期にかけては、会社への滅私奉公が昇給や終身雇用という形で報われていました。しかし、経済成長が鈍化した現代において、見返りのない熱意や忠誠心を要求することは、いわゆる「やりがい搾取」に他なりません。生活基盤を安定させ、家族を守り、個人の自由を確保するための金銭獲得は、労働契約における最も崇高で正当な動機です。
心理学的な観点から見ても、お金のために働くことは悪いことではなく、むしろ「生存と安全の欲求」を満たすための健全な行動原理です。会社が提供する理念に無理に共感しようとしたり、偽りの熱意を演じたりすることこそが、長期的なメンタルヘルスの悪化を招く主因となっています。