12月29日は、日本の国土開発と経済史の観点からも極めて重要な記念日である。その代表格が「清水トンネル貫通記念日」だ。
1929年(昭和4年)12月29日、上越線の群馬・新潟県境を貫く清水トンネル(全長9,702メートル)がついに貫通した。当時の世界屈指、日本最長の山岳鉄道トンネル工事であり、湧水と盤圧に阻まれながら多数の犠牲者を出した難工事であった。当時の鉄道省の工事日誌や技官たちの手記には、厳冬の猛吹雪の中、両側から掘削を進めてきた先端部が合致した瞬間の歓喜と、「これで冬でも日本海側と太平洋側が直結する」という国家の命運を背負った覚悟が生々しく記録されている。川端康成の名作『雪国』のあまりにも有名な書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」のモデルとなった舞台そのものである。
また、日本経済の命運という点において、1989年(平成元年)12月29日を外すことはできない。この日の大納会で、東京株式市場の日経平均株価は史上最高値である38,915円87銭(終値)を記録した。大手証券会社の元幹部が当時の経済特番で「あの瞬間、兜町全体が地鳴りのような歓声に包まれ、株価は5万円へ向かうと誰もが信じて疑わなかった」と述懐した熱狂の頂点であり、奇しくも平成バブル経済が崩壊へと転じる直前の歴史的モニュメントとなった。