本作の代名詞とも言えるのが、「君にいいことがあるように 今日は赤いストローさしてあげる」というキラーフレーズです。なぜストローなのか、そしてなぜ「赤」でなければならなかったのか。ここにはaikoが描く独自の恋愛哲学が色濃く反映されています。
高価なプレゼントを贈ったり、劇的なサプライズを用意したりするのではなく、朝の食卓やテイクアウトのドリンクに「赤いストロー」をそっと選ぶ。この行為は、誰にも気づかれないほどささやかな日常の小さなおまじないです。赤という色彩が持つポジティブなエネルギーや吉兆のイメージを、相手の出がけの瞬間に託す――そこには「見返りを求めず、ただ相手の今日という一日が無事であってほしい」と願う、純度の高い献身的な愛情が込められています。
言葉にして「頑張ってね」と重く背中を押す代わりに、視界に入るストローの色を変えるだけの気遣い。生活に寄り添う微細な変化にこそ、言葉以上の深い愛が宿るという真理を突いた表現です。