人間が記憶を想起する際、類似した属性を持つ情報をひとつのカテゴリーとして無意識に統合してしまう認知心理学的現象(カテゴリー錯誤)が知られています。「ラーショ」と「横綱」の間には、まさにこの錯誤を引き起こす強力な共通項がいくつも揃っています。
第一の共通項は、「濃厚な豚骨醤油ラーメン」というコアジャンルの一致です。白濁した豚骨のコクとキレのある醤油ダレを合わせるスタイルは、昭和後期の日本においてトラック輸送を支える長距離ドライバーや現場労働者の胃袋を掴む決定打となりました。どちらの店も、一度食べたら忘れられない中毒性の高い動物系スープを武器に支持を広げてきました。
第二に、店舗の立地と外観のビジュアル・アイデンティティです。両者とも広大な大型駐車場を完備し、ドライバーが立ち寄りやすい片側2車線以上のバイパス沿いに居を構えています。さらに、看板には遠くからでも目立つ「赤」や「黄」「白」の配色が多用され、遠目にはどこか親戚のような昭和ロードサイド情緒を醸し出しています。
第三に、深夜営業・早朝営業というタイムラインの近似性です。ラーメンショップ系列店には朝6時台から営業を開始するいわゆる「朝ラー」文化が根付いており、ラーメン横綱は深夜から翌朝5時前後まで明かりを灯し続けてきました。過酷な労働環境に身を置く人々にとって、夜明け前や深夜に暖かな豚骨醤油の一杯を提供するオアシスであった点が、両者のパブリックイメージを強く結びつけているのです。