「ボーイフレンド」という言葉の解釈が人によって分かれる最大の要因は、日本語としての定着過程と英語の原義におけるギャップにあります。
日本国語大辞典やWeblio国語辞典などの主要な辞書を確認すると、ボーイフレンドは「女性にとっての男友達」と定義されています。文学作品における初出の実例としては、1936年に発表された阿部知二の小説『冬の宿』において「『ボイ・フレンド』とはなんのことか」と登場しており、昭和初期の日本に外来語として流入した当初は、プラトニックな交友関係を持つ男性を指す言葉として用いられていました。
一方で、英語圏における「boyfriend」の歴史を辿ると、1906年頃から「結婚を前提としない恋愛関係にある男性パートナー(恋人)」を意味する単語として定着しています。英語で恋愛感情のない男友達を表す場合は「male friend」や「a friend of mine who is a guy」といった表現を用いるのが一般的であり、単に「boyfriend」と口にすれば100%恋人関係を指します。
つまり、昭和の日本で広まった「和製英語的な男友達」というニュアンスと、グローバルスタンダードである「恋人」というニュアンスが混在した結果、現代の日本語では文脈によって意味が変わる曖昧な言葉として定着したといえます。