ラプンツェル症候群とは?髪を食べる心理と胃内毛球症の危険性

ラプンツェル症候群とは?髪を食べる心理と胃内毛球症の危険性

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医療現場において「ラプンツェル症候群(Rapunzel syndrome)」とは、自毛を飲み込む食毛症(トリコファジア)によって胃の中に毛髪の塊(毛球症:トリコベゾアール)が形成され、その毛玉が胃の出口(幽門)を越えて十二指腸や小腸、時には大腸にまで長く尾を引くように伸びた病態を指します。1968年に外科医のヴォーガン(Vaughan)らによって初めて医学報告され、高い塔から長い髪を垂らして王子を迎え入れたグリム童話の主人公「ラプンツェル」にちなんで命名されました。

人間の髪の毛の主成分であるケラチンタンパク質は、胃酸や消化酵素(ペプシンなど)で分解・消化することができません。さらに、毛髪の表面にあるキューティクルは一方向の摩擦抵抗を生むため、胃の蠕動(ぜんどう)運動によって排出されるどころか、胃粘膜のひだに絡みつきながら徐々にフェルト状に圧縮されていきます。飲み込まれた髪の毛は、食べかすや粘液を巻き込みながら数か月から数年の歳月をかけて雪だるま式に巨大化し、最終的には胃の形そのものの硬い鋳型(キャスト)を形成します。

この症候群の最大の特徴は、単に胃の中に毛玉が留まる「胃毛球症」にとどまらず、長い毛髪の束が十二指腸から空腸・回腸へと長く伸びる点にあります。この「尻尾」のような形状が腸の運動を物理的にロックし、激しい腹痛、嘔吐、栄養障害、そして致死的な腸閉塞(イレウス)を引き起こすトリガーとなります。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。