温泉をめぐっては、一般的なイメージと科学的・法的な実態の間にいくつかの誤解が存在します。
誤解1:「温泉=熱いお湯」という思い込み
多くの人は「温泉=温かい湯」と認識していますが、前述の温泉法にある通り、湧出温度が15℃であっても、遊離炭酸や硫黄などの指定成分が基準値以上含まれていれば正式な温泉(冷鉱泉)です。旅館ではこれらを加温して提供していますが、成分の濃さにおいては高温の温泉に引けを取らない名湯が全国に多数存在します。
誤解2:「源泉かけ流し至上主義」の落とし穴
インターネット上では「源泉かけ流し=本物」「循環ろ過=劣悪」という極端な二元論が見受けられます。しかし、源泉温度が90℃を超える施設では加水なしには入れず、逆に毎分湧出量が限られる地域では、適切な温度管理とレジオネラ属菌の増殖を防ぐ高度なろ過・消毒設備こそが利用者の安全を守る不可欠な衛生管理技術です。泉質そのものの鮮度を楽しむかけ流しと、安定した清潔さと湯温を保つ循環システムには、それぞれ合理的な役割が存在します。