大宮駅東口を出て徒歩約3分、一番街商店街の一角に佇むカフェ&デリ伯爵邸は、単なる懐古趣味のレトロ喫茶ではありません。店内に入ると、赤と金を基調としたゴージャスなフレンチロココ調のインテリア、怪しく光るシャンデリア、南国風の置物が同居し、来店者に強烈な視覚的インパクトを与えます。この唯一無二の空気感こそが、半世紀にわたり客足を途絶えさせない最大の武器となっています。
同店が支持され続ける背景には、大宮という街の特殊な歴史が密接に関わっています。かつて「鉄道の街」「宿場町」として栄えた大宮は、夜勤明けの鉄道マンや市場関係者、長距離トラックのドライバーなど、昼夜を問わずエネルギーを欲する人々が集うハブでした。そうした労働者たちの胃袋を満たすべく、創業者である沖縄出身のオーナー・宮城正和氏が掲げたのが「いつでも開いていて、腹いっぱい食べられる店」という哲学でした。
多国籍感あふれるラインナップも伯爵邸のアイデンティティです。純喫茶でありながら、タコライスやゴーヤチャンプルーなどの本格沖縄料理から、中華風の中華丼、本格洋食、さらには東南アジアのテイストを取り入れた料理まで、メニューの数は100種を超えます。この「何でもありの包摂性」が、一人客からファミリー、深夜の若者グループに至るまで、全方位のニーズを吸収し続ける源泉です。