プロとしての実績があろうと、特別扱いは一切存在しない。日本モーターボート競走会が管理する養成所の門を叩くには、厳しい年齢や格闘技術以前に、徹底した体重管理と適性試験をクリアしなければならなかった。
野球選手時代の肉体からボートレーサーに適した軽量で引き締まった体幹へと絞り込む作業は、壮絶を極めた。過酷なトレーニングと徹底した食事制限。数十キロ単位の減量を乗り越え、若き候補生たちと寝食を共にしながら地道な旋回技術やエンジン整備を叩き込んだ。水の上では過去の名声など何の役にも立たない。ゼロからの愚直な積み重ねだけが、彼をプロのレーサーへと脱皮させたのである。