重大な水圧・流体圧を常時受け止める仕切弁の製品寿命は、定期メンテナンスの質に完全に依存します。配管事故を防ぐための点検実務を詳細にまとめました。
1. グランド部(ステム貫通部)の漏洩点検と増し締め
外部漏洩の90%以上は、弁棒周囲を密封する「グランドパッキン(炭素繊維編組パッキンやテフロンパッキン)」の経年劣化や痩せによって発生します。液滴が滲み出ているのを発見した場合、グランドボルトのナットを片締めにならないよう均等に締め付けます。
ここで重要な注意点は、「漏れが止まる最小限のトルクで増し締めすること」です。漏れを恐れて過大に締め込みすぎると、パッキンが弁棒を強烈に噛み込んでハンドルが回らなくなったり、弁棒表面を削り取って逆にパッキン寿命を縮める結果となります。
2. 弁棒(ステム)の清掃と給脂(グリスアップ)
外ねじ型仕切弁の場合、大気中に露出しているステムの台形ネジ部に粉塵や雨水が付着し、激しい錆や異物固着が発生します。年1〜2回の定期点検時に古いグリスを真鍮ブラシやウエスで完全除去し、耐水・耐熱性に優れた極圧リチウムグリスや二硫化モリブデングリスをネジ山全体へ均一に塗布します。
3. 長期不作動弁の「固着防止」作動テスト
常に全開、あるいは常に全閉のまま数年間放置された仕切弁は、弁体とシートリングの間で異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)やスケール固着を起こし、いざという災害時に一切動かなくなります。これを防ぐため、定期事業計画の中で年に最低1回、全閉側へ数回転回してから元の全開位置へ戻す「パーシャルストロークテスト(部分開閉運動)」を実施することが設備の長寿命化に寄与します。
もし全開・全閉位置でハンドルが固まり回らない場合であっても、長柄のパイプレンチをハンドルに噛ませて無理な力任せで回してはなりません。弁棒のネジ山飛びやステム座金の押し抜きを招きます。浸透潤滑剤を十分に塗布して数十分浸透させ、ハンドルの周囲をプラスチックハンマーで軽く全周叩いて衝撃微振動を与えながら、小刻みに左右へ揺らすようにして固着を解除するのがプロ技術者の正攻法です。