「なんということをしてくれたのでしょう」のルーツを辿ると、誰もが2002年に放送を開始したテレビ朝日系列の人気番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』を思い浮かべます。名匠と呼ばれる建築家たちが、狭小住宅や老朽化した住まいの悩みを劇的に解決していくドキュメンタリータッチのバラエティです。
劇中のクライマックス、リフォーム後の劇的な変貌を披露するシーンで流れるのが、国民的アニメ『サザエさん』のフグ田サザエ役としても知られる声優・加藤みどりによる温かみのある語り口でした。しかし、彼女が発していた本来の決め台詞は、ただ一言「なんということでしょう」です。
番組の公式台本や当時の制作資料を確認しても、加藤みどりが読んだナレーション原稿に「してくれた」という受動・使役の補助動詞が含まれた記録はありません。本来の言葉は、匠の創意工夫によって生まれ変わった空間に対する純粋な驚きと賞賛を表す感嘆詞でした。それがいつの間にか、ネット空間において「誰かの不必要な介入によって取り返しのつかない事態に陥った」という非難と怨嗟を込めた台詞へとすり替えられていったのです。