岩松院の見どころは北斎の天井絵だけにとどまらない。境内の片隅にある小さな池のほとりには、江戸時代の俳人・小林一茶ゆかりの歴史が静かに刻まれている。
文化13年(1816年)、岩松院を訪れた一茶は、この池で繰り広げられていた蛙たちの求愛行動、いわゆる「蛙合戦」を目撃した。痩せた蛙が懸命に大蛙に挑む姿に自身のみじめな境遇や弱者への温かな眼差しを重ね合わせ、詠んだのがかの有名な名句「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」である。現在も「蛙合戦の池」として大切に保存されており、春の訪れとともに今なお歴史の情緒を感じさせる名所となっている。