街角に裸婦像が林立した理由について、「一部の美術愛好家による押し付け」や「単なる作家の趣味」と受け取られがちですが、実際には自治体の都市計画と公共事業の仕組みが深く関わっています。
欧米には建築費用の一定割合(通常1%程度)をパブリックアートの設置に充てることを義務づけた「1% for Art(パーセント・フォー・アート)」政策があります。日本でも昭和後期にこれに倣い、公共施設や道路整備の予算枠の中に景観整備費として彫刻の購入費用が組み込まれるようになりました。
当時、調達を担当した行政担当者にとって、具象の裸婦像は「政治的・宗教的に中立であり、特定のイデオロギー色を持たず、著名な展覧会の受賞歴がある作家の作品であれば予算執行の説明が立ちやすい」という実務上のメリットがありました。その結果、全国の駅前や大通りに似たようなスタイルのブロンズ像が一斉に設置されるという現象が生じたのです。