この二つの岩を語る上で避けて通れないのが、1989年に発生した歴史的遭難事故である「大雪山SOS遭難事件」だ。行方不明となった登山者を捜索していた北海道警察ヘリコプターが、倒木を組み合わせて作られた巨大な「SOS」の文字を発見したことから始まったこの事件は、日本の警察機構および山岳捜索史に大きな衝撃を与えた。
過酷な捜索の末に発見された遺留品や録音テープは、厳しい自然環境下で孤立した人間の極限状態を現在に伝えている。現在では、NHKオンデマンドなどで配信されているドキュメンタリー『大雪山SOS遭難事件の真相』を通じて、事故の凄惨さとニセ金庫岩周辺における道迷いの恐ろしさを学習することが可能だ。この事件をモチーフにした記録文書や映像作品は、単なる好奇心の対象ではなく、現代の登山者が学ぶべき防災教育の生きた教材となっている。