すべての始まりは、一人の男の直感だった。大阪の立ち食い寿司店主だった白石義明氏が、ビール工場の製造ラインで瓶がベルトコンベアに乗って流れる様子を見て「寿司を流せば、人手不足を解消できる」と思いついたのが回転寿司の産声をあげた瞬間だ。1958年に東大阪市にオープンした「元禄寿司」が、その第一号である。
このアイデアは日本の外食産業に決定的な地殻変動をもたらした。当時、寿司といえば職人の顔色を伺いながら食べる高嶺の花。それを「明朗会計」と「セルフサービス」によって一気に大衆化させたのだ。白石氏の発明したコンベアシステムは特許が切れると同時に全国へ普及し、回転寿司業界という巨大な市場を創出することになった。