自民党内に大臣待望組が多数存在するにもかかわらず、国土交通大臣に公明党議員が起用され続ける理由には、永田町の権力構造に根ざした深い事情が存在します。
1. 公明党の基本政策である「大衆福祉・防災減災」との親和性
公明党は結党以来、「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」を掲げてきました。国土交通省の所管業務であるバリアフリー化の推進、公営住宅の整備、公衆衛生に関わる上下水道、激甚化する風水害への「防災・減災」対策は、同党の重点政策と完全に一致します。党の支持母体に対して「生活密着型の実績」を目に見える形で提示しやすい点が、同ポストを最重要視する最大の動機です。
2. 外交・安全保障・憲法論争を避けた「実務型中立ポスト」
連立与党とはいえ、自民党と公明党では安全保障や憲法改正、靖国神社参拝問題などにおいて歴史的な温度差があります。もし公明党議員が外務大臣や防衛大臣、法務大臣に就任した場合、閣内不一致や党内支持層との軋轢を招くリスクが極めて高くなります。その点、国土交通行政はイデオロギー色の薄い純粋な行政実務が中心となるため、連立政権の摩擦を回避する「防波堤」として最適に機能します。
3. 自民党内の派閥抗争と「利権の囲い込み」を防止する緩衝材
かつての自民党単独政権期、旧建設省や旧運輸省の利権は特定派閥(田中派・竹下派など)の強大な資金源・集票基盤となっていました。巨大省庁のポストを公明党に委ねることは、自民党内部の派閥間による熾烈な利権争奪戦を抑え込む効果を生みます。自民党首脳部にとっても、「公明党枠」として切り離すことで党内融和を図りやすいという計算が働いています。