歴代最長政権の記録を打ち立てた最大の制度的エンジンは、2014年に発足した内閣人事局でした。各省庁の審議官級以上の幹部人事約600人を官邸が一元管理する仕組みを整えたことで、従来型の「官僚主導」や各省庁の縦割り行政は一変し、圧倒的な官邸主導が実現しました。
政策推進のスピード感が増す一方で、霞が関の官僚組織は官邸の意向に逆らえない構造が完成します。また、自民党内の派閥力学にも劇的な変化が生じました。かつてのように派閥の領袖が激しく競い合い、首相の権力を牽制する機能は後退し、安倍氏を中心とする清和政策研究会(安倍派)への権力集中が加速したのです。
党役員人事や閣僚ポストの配分を通じて所属議員の生殺与奪の権を握ったことで、党内からの異論や批判は封殺され、「物言えば唇寒し」の空気が党内に定着。これが外部からの攻撃を寄せ付けない長期安定政権の強固な防壁となりました。