運勢の序列と同じく関心を集めるのが、それぞれの吉凶がどの程度の頻度で授与箱の中に仕込まれているかという確率論です。一般的な民間調査や神社関係者の聞き取りによると、現代の一般的な神社では参拝者の心理的配慮から凶の割合を極力減らし、大吉や中吉、吉を全体の約60%〜70%程度に割り振る傾向が定着しています。
しかし、中世以来の厳格な配分率を頑なに守り続けている代表例が、東京都台東区の浅草寺です。比叡山延暦寺の良源(元三大師)が創始したとされる「元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)」をそのまま運用しており、1番から100番までの運勢配分が固定されています。この歴史的データにおいて、中吉は決して平凡なありふれた結果ではありません。
データが物語る通り、元三大師の古式において中吉はわずか5%しか組み込まれていません。大吉(17%)や吉(35%)よりも圧倒的に出現確率が低く、確率論的に見れば極めて貴重な籤を引き当てていることになります。日常会話で「中くらいだから無難」と片付けられがちな中吉ですが、歴史的な出自に目を向けるとまったく異なる実像が見えてきます。