山谷祥生という声優のキャリアを語る上で欠かせないのが、観る者の心に深い余韻を残すアニメ作品の数々です。彼の声筋は、誇張されたアニメ的記号にとどまらず、生身の人間の息遣いを感じさせるナチュラルなリアリズムに支えられています。
出世作にして初主演を務めた『一週間フレンズ。』(長谷祐樹 役)では、月曜日になると友達の記憶を失ってしまうヒロインに、何度でも「友達になってください」と伝え続ける健気な男子高校生を好演しました。当時のインタビューでも「背伸びをせず、等身大の高校生としての不器用さを大切にした」と語られていた通り、飾らないストレートな感情表現が物語の切なさを際立たせ、声優・山谷祥生の名を広く知らしめる決定打となりました。
そして、その演技力の幅と凄みを世に見せつけたのが『呪術廻戦』(吉野順平 役)です。いじめによる孤独、呪術師との出会い、母への愛情、そして理不尽な悪意に翻弄されていく悲劇の少年を、掠れるような息遣いと痛切な叫びで体現。視聴者の胸を抉る圧巻の演技は、SNS上でも「順平の絶望が声から痛いほど伝わってくる」と大きな話題を呼び、作品屈指のドラマツルギーを創出しました。
さらに、王道スポーツ・学園ものでもその存在感は際立ちます。『暗殺教室』(杉野友人 役)では野球への情熱と挫折を乗り越える快活な少年をエネルギッシュに演じ、『ダイヤのA』(多田野樹 役)では強豪校のプレッシャーに立ち向かいながら正捕手へと成長していく後輩捕手の葛藤を泥臭く表現。一過性の爽やかさだけではない、少年の内面にある泥や汗の匂いまでを表現できる点が、彼の演じるアニメキャラクターの大きな強みです。