初心者向けイラスト講座でも推奨される最も再現性の高い手法は、複雑な人体をいきなり線画で追うのではなく、「単純な立体(ボックス・円柱)」に置き換えてアタリを取る手順です。ここでは顔と全身における具体的な作画プロセスを解説します。
1. 顔の俯瞰の描き方(球体とマスクの分割)
顔の作画では、まず頭部を「球体+アゴのくさび型」としてアタリを取ります。次の3ステップで立体を破綻なく構築します。
- 頭頂部と十字線の設定:球体の頂点(つむじ付近)を意識し、顔の中心線と眉のラインを引きます。俯瞰では眉のラインが「下向きのアーチ」を描きます。
- パーツの圧縮配置:おでこが全長の約50%以上を占め、眉から鼻先、鼻先からアゴまでの距離が極端に狭まります。目は窪み(アイソケット)の内側にあるため、眉骨の出っ張りによってわずかに隠れる意識で描きます。
- 耳の位置関係:見下ろすアングルでは、耳の配置位置が目や眉よりも「高い位置」に見えるのが決定的なポイントです。平視の感覚で耳を目と同じ高さに描いてしまうと、一瞬でパースが崩壊します。
2. 全身の俯瞰の描き方(三点透視図法とシリンダーの積み重ね)
全身を描く際は、背景と同様に「三点透視図法」の概念を人体に適用します。左右の消失点に加えて、画面下方に第3の消失点が存在するため、足元に向かって身体全体が徐々にすぼまっていきます。
- 胸郭と骨盤のボックス化:胴体を「胸の箱」と「腰の箱」の2つに単純化します。俯瞰では、胸の箱の「上面(肩・鎖骨まわり)」が広く見え、箱の側面は下に向かってすぼまります。
- 断面ライン(等高線)の付与:首、胸下、ウエスト、太もも、ふくらはぎに輪切りの楕円を描き込みます。この楕円のカーブがすべて下向きに統一されているかを確認することで、空間の整合性が保たれます。
- 足元の接地感:地面に落ちる影を足元に正確に描くことで、キャラクターが空中に浮いてしまう違和感を排除できます。