従来の雛人形といえば、色白で涼しげな目元を持つ伝統的な「能面風」の表情が標準であった。しかし近年、その顔立ちにも顕著な多様性が現れている。
幼さを残した丸顔の人形や、微笑みを浮かべた親しみやすい表情、さらには注文主の子どもの写真をもとに職人が一筆一筆描き分けるセミオーダー形式の人形まで登場している。肌のトーンも画一的な白さにとらわれず、自然な血色感を持たせる手法が広がりを見せる。
我が子の成長を祈る存在だからこそ、より愛着を持てる顔立ちを選びたいという親心が、伝統的な人形制作の枠組みを広げている。