今回の事案において見過ごされがちな盲点は、「悪意ある加害者が存在しなくても、大惨事は引き起こされる」という点です。近年発生した車内切りつけ事件の記憶が人々の脳裏に焼き付いているからこそ、わずかな異変が最大級の防衛本能(逃走)を刺激しました。
また、料理人の行動にも過失がなかったわけではありません。鉄道各社の旅客営業規則では、刃物を車内に持ち込む際、「直ちに使用できないよう適切に梱包すること」が明確に義務付けられています。タオルで巻いただけの不十分な包装は、車内振動や睡眠時の体の動きでほどけるリスクが極めて高く、結果として社会的な大混乱を招く要因となりました。