1963年、日本中を驚かせたニュースが駆け巡った。プロ野球界で阪神タイガースの主砲を務め、打点王の快挙を成し遂げた藤本勝巳と、若くして歌謡界のトップに君臨していた島倉千代子の結婚である。グランドとステージ、活躍するフィールドこそ違えど、第一線で脚光を浴びる大物同士のロマンスは連日メディアを賑わせた。
しかし、華やかな披露宴の陰で、早くもすれ違いの芽は生えていた。過密な遠征スケジュールを抱えるトップアスリートと、全国を興行で巡る超多忙な歌手。二人で静かに食卓を囲む時間すら満足に取れない日常が、若き夫婦の距離を少しずつ離していくのだった。