極上の餡を作り上げるうえで欠かせないのが、最高級品種として名高い丹波大納言小豆だ。大粒で皮が薄く、風味豊かなこの小豆は、じっくりと煮込んでも煮くずれしにくい特徴を持つ。口に含んだ瞬間に広がる豊かなコクとすっきりとした後味は、この土地の素材だからこそ成し得る技だ。
この甘味文化の礎を築いた人物の筆頭が、茶道を大成させた千利休である。茶の湯の席で出される菓子として発展した和菓子は、茶のしぶみを引き立てる名脇役として研ぎ澄まされてきた。甘さを控えめにし、素材の持ち味を極限まで生かす引き算の美学は、今も京都の餡作りに脈々と受け継がれている。