ネット上の掲示板やSNSでは、コンプライアンスに関して法的な根拠を欠いた誤解や都市伝説が少なからず出回っています。こうした誤った知識を鵜呑みにすることは、極めて危険です。
誤解1:「プライベートのアカウントなら、会社の愚痴や業務内容を投稿しても問題ない」
「鍵アカウント(非公開設定)だから大丈夫」「会社名は伏せているから特定されない」という過信は、最も典型的な破滅のパターンです。フォロワーによるスクリーンショットの流出や、過去の投稿の断片(オフィスの窓からの風景、業務のタイムスケジュール、業界特有の専門用語)から、特定班と呼ばれるネットユーザーによって数時間で勤務先と本名が特定されます。私生活での投稿であっても、企業の社会的信用を毀損した場合は就業規則違反として懲戒処分の対象になります。
誤解2:「法律に書いていないルールは、破っても会社から処分される筋合いはない」
法令に直接の罰則規定がない行為であっても、企業が就業規則や倫理規程で定めたルールに違反し、業務の円滑な運営を妨げた場合、会社には人事権および懲戒権を行使する法的権利があります。「法律違反ではない」という反論は、社内処分を無効化する理由にはなりません。
誤解3:「上司の明確な指示に従っただけなら、部下の責任は一切問われない」
組織的な不正において、部下が「上司の業務命令だった」と主張しても、それが明白な違法行為(伝票の改ざんや偽装など)である場合、法的な共犯関係や責任から逃れることはできません。公序良俗に反する業務命令にはそもそも法的拘束力がなく、違法な命令に従って不正を実行した従業員自身も、懲戒処分や民事上の賠償責任を免れ得ないのです。