2026年現在、日本国内に存在する名字の種類は約30万種にのぼると言われる。その中でも「全国にわずか数十人、あるいは数世帯しか存在しない」とされる超超レア名字の存在は、知好楽の心を強く揺さぶる。名字研究の第一線で集計を続ける「名字由来net」のデータによれば、最新の希少名字ランキングの上位には、初見では絶対に読めないような難字や、一見すると名前に見えない単語がずらりと並んでいる。
たとえば、全国で数世帯しか確認されていない「東西南北(ひがしにしみなみきた)」や「一(にのまえ)」といった珍名だ。「一」と書いて「にのまえ」と読ませる吉兆の名字は、数字の「二」の前にあるからという粋な語呂合わせから生まれたとされる。また、名字学の知見によれば、こうした珍しい名字の多くは、特定の限られた集落で代々受け継がれてきたものや、公家や武家に仕えた特殊な職能集団に由来するものが多い。かつて文豪として活躍した勘解由小路資厚の「勘解由小路(かでのこうじ)」のように、藤原氏の閑院流に連なる公家家格に由来する歴史的価値の高い名字も、現代では極めて限られた人々に受け継がれるのみとなっている。