現在、前田健太を巡る日米メディアの評価は大きく二分しています。一方は「年齢に伴うフィジカル面の限界」を指摘する声、もう一方は「打者との駆け引きを極めたハイレベルな投球術」を称賛する声です。この評価の分かれ道となっている最大の要因が、フォーシームの球速低下にあります。
広島時代やドジャース初期には最速153キロ、アベレージで148〜150キロ前後を記録していた直球は、トミー・ジョン手術からの復帰や年齢的な変化を経て、現在は平均143〜145キロ(約89〜90マイル)前後で推移しています。メジャーリーグ全体の平均球速が年々上昇する中で、直球が真ん中付近に集まると長打を浴びるリスクが高まったことは否めません。
しかし、前田の真骨頂はここからのアジャスト能力にあります。直球に頼るのではなく、変化の軌道が異なるスライダー、打者の手元で鋭く落ちるスプリットチェンジ、そしてカウント球として使うカーブを複雑にミックス。打者のタイミングを巧みに外すピッチデザインへとシフトしたことで、被打ハードヒット率(強打された割合)を抑制する技術を磨き上げています。