東郷青児の画業を体系的に堪能する上で、新宿の高層ビル街に佇むSOMPO美術館の存在は欠かせません。この美術館はもともと、安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)の当時の社長と東郷青児との個人的な信頼関係に基づき、画伯から自作約200点の寄贈を受けたことを契機として1976年に開設されました。
かつて「東郷青児美術館」「損保ジャパン東郷青児美術館」と呼ばれ親しまれた同館は、2020年に新宿駅西口近くに独立棟として新築移転し、「SOMPO美術館」へと生まれ変わりました。フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』を常設展示する美術館としても世界的に有名ですが、コレクションの核は今なお東郷青児の初期から晩年までの貴重な作品群です。
移転後の最新施設では、計算し尽くされた照明設計によって、油彩の滑らかなグラデーションや色彩の階調が鮮明に浮かび上がります。激動の時代を駆け抜けた巨匠の筆跡を間近で体感できる空間として、往年の愛好家のみならず、感度の高いZ世代のアートファンも多く訪れています。