「中に入れないなら、今は行く価値がないのか?」という問いに対し、現地のリアルな状況を取材しました。結論から言えば、アプローチの仕方次第で今しか味わえない特別な旅情を十分に堪能できます。
まず押さえておきたいのが、旧三笠ホテルへのアクセスと駐車場の実情です。軽井沢駅北口から草軽交通バスで約10分の「三笠」バス停下車すぐ、または旧軽井沢銀座から緩やかな坂道をレンタサイクルで走ること約15分。初夏の新緑や秋の紅葉シーズン、三笠通りを包むカラマツ並木の木漏れ日はそれ自体が一級の観光資源です。現地には町営の無料駐車場が整備されており、ドライブの立ち寄り先としても申し分ありません。
敷地境界のフェンス越しではありますが、覆いが外されたことで、凛として佇む瀟洒な八角形塔屋やドイツ下見板張りの外壁を間近に眺めることができます。工事関係者の出入りや案内看板を通じて、文化財が再生されていく過渡期のドラマを感じ取れるのは、完全公開前の今だけの特典と言えます。
さらに見逃せないのが、食のヘリテージ体験です。ホテル創業当時の厨房で外国人シェフ直伝のレシピとして供されていた名物料理は、現在復刻「旧三笠ホテルカレー」の評判として町内各地で高い人気を博しています。信州産牛肉や鶏肉の旨味を凝縮し、スパイスの中に奥深いコクと上品な酸味を忍ばせたその味わいは、レトルト商品や旧軽井沢エリアの提携カフェ、テイクアウトのカレーパン専門店などで広く提供されています。休館中であっても、味覚を通じて名門ホテルの栄華に触れる旅の満足度は極めて高いと言えます。