本作の歌詞を読み解く上で欠かせないのが、アニメ『血界戦線』の舞台である「ヘルサレムズ・ロット」の描写です。異界と人界が交差したニューヨークの成れの果てであるその街は、日常茶飯事で大事件や怪異が起きる狂騒の空間でありながら、住人たちはそれぞれの生活を淡々と、時に逞しく営んでいます。
田淵智也は作品のシナリオを徹底的に読み込んだ上で、「世界がどれほど無茶苦茶で不条理であっても、自分の人生の主導権を手放さない」というメッセージを歌詞に落とし込みました。サビで繰り返される「超天変地異みたいな狂騒にも慣れて」というフレーズは、作中の異常事態が日常化している様子を表すと同時に、情報過多で先行きが見えない現実社会を生きる私たち自身の姿にも重なります。
「シュガー(甘さ=喜びや幸福)」と「ビター(苦さ=絶望や理不尽)」は、どちらか一方だけを排除できるものではなく、どちらも抱えながらステップを踏み続けることこそが生きる営みそのものである――。安易な応援歌に逃げず、現実の過酷さをまるごと飲み込んだ上で「ならば踊ってしまおう」と促す姿勢こそ、この楽曲が持つ本質的な強さです。