時透無一郎が壮絶な死を遂げたのは、原作漫画の第179話「兄を思い弟を思い」(単行本21巻収録)です。黒死牟との交戦が始まった第165話から、激闘は極限を極めました。
戦闘開始早々、無一郎は黒死牟の圧倒的な膂力と剣技の前に左手首を切断され、自身の刀で柱に磔にされるという絶望的な窮地に追い込まれます。しかし、不死川玄弥の加勢によって拘束を解かれた無一郎は、自らの命を完全に度外視した特攻を決意します。
懐へ飛び込んだ無一郎は、黒死牟の刃によって右足を切断され、さらに胴体を真っ二つに両断されるという致命傷を負います。しかし、下半身を失い内臓を損傷しながらも意識を保ち続け、黒死牟の腹部に突き刺した日輪刀を万力の力で握り込み、赫刀へと変化させました。
この赫刀による内臓の激しい灼熱ダメージが黒死牟の再生能力と動きを鈍らせ、不死川実弥、悲鳴嶼行冥による首の切断、そして玄弥の血鬼術による拘束を成功させる決定打となりました。14歳の命を極限まで燃やし尽くした自己犠牲がなければ、上弦の壱の撃破は絶対に不可能だったのです。
戦いの果て、精神世界で有一郎と再会を果たした無一郎。「死ぬために産まれてきたんじゃない」と泣き叫ぶ有一郎に対し、無一郎は穏やかな笑みを浮かべて返答します。
「僕はね、有一郎……幸せになるために産まれてきたんだよ」
このセリフは『鬼滅の刃』全編を通じても屈指の名シーンとして、多くの読者の涙を誘いました。