あべ静江のキャリアは、最初から歌の世界にあったわけではない。学生時代に名古屋でラジオのディスクジョッキーやアナウンサーとして活動していた彼女は、その抜群の滑舌と愛らしい声で地元で絶大な人気を誇っていた。その声に惚れ込んだ音楽関係者によって見出され、1973年、キャニオン・レコード(現在のポニーキャニオン)から歌手として正式にデビューを果たす。
デビュー曲『コーヒーショップで』は、リリースされるやいなやラジオやテレビのランキングを駆け上がった。喫茶店の片隅で揺れる乙女心を繊細に歌い上げたこの楽曲は、空前の大ヒットを記録。彼女はこの曲で同年の第15回日本レコード大賞新人賞を受賞し、音楽業界にその名を深く刻み込んだ。