国民的時代劇『水戸黄門』の2代目黄門様として愛された名優・西村晃。飄々とした演技と深い味わいで親しまれた彼も、かつて大日本帝国海軍の特攻隊員だった。特攻基地として知られる鹿屋や知覧の重苦しい空気の中、出撃の瞬間を待つ日々を過ごしていたという。
出撃命令が下り、機体に乗り込んだものの、エンジントラブルによって不時着。九死に一生を得て終戦を迎えた。戦後、彼が芸能界へ飛び込んだ裏には、「死んでいった仲間たちの分まで生き切る」という狂おしいほどの執念があった。西村が演じる悪役や屈折した人間の凄みは、死線を潜り抜けた者だけが醸し出せる本物の影だったのかもしれない。