道路の立体交差において、道路側を掘り下げて線路や交差道路の下をくぐらせる「アンダーパス(掘割構造)」は、用地取得面積を抑えられる有効な工法として全国に数多く整備されています。しかし、近年の気候変動による局地的な線状降水帯やゲリラ豪雨の激甚化に伴い、アンダーパスは一転して「死を招く水没トラップ」へと変貌する危険性を孕んでいます。
アンダーパスは構造上、周囲のすり鉢の底にあたるため、雨水が一気に集中します。大型排水ポンプが常設されているものの、想定を超える時間雨量80〜100ミリ級の猛烈な雨が降ると排水能力を瞬時にオーバーフローします。水深がわずか30cmに達するだけで乗用車のエンジンは吸気口から水を吸って停止し、水深50cmを超えると水圧によって内側からドアを開けることが不可能になります。
夜間や視界不良時、ドライバーは水たまりの深さを目測で見誤りやすく、「行けるだろう」と進入して閉じ込められる死亡事故が後を絶ちません。各自治体では冠水警報表示板やエアバッグ式流入防止ゲートの設置を進めていますが、大雨警報発令時には「アンダーパスを避ける迂回ルート」をあらかじめ頭に入れておくことがドライバー必須のリスク管理です。