本シリーズの醍醐味は、軽妙なギャグシーンの裏に隠された緻密な伏線回収とキャラクターの成長劇にあります。鑑賞時に意識しておくと面白さが跳ね上がるポイントを整理しました。
まず絶対に外せないのが、全作品のエンドロール後に挿入されるポストクレジットシーンです。多くの作品でおまけ映像以上の意味を持たせており、次のエピソードへと繋がる重大な布石が打たれています。第1作では呪いの金貨を拾い上げたサルの行方、第2作では島に取り残された犬の処遇、第3作では10年後のエリザベスと成長した息子の姿が描かれ、この第3作のラストが第5作『最後の海賊』のメインプロットへと直結しています。
さらに、ジャックが常に持ち歩く「北を指さないコンパス」の秘密も重要です。このコンパスは方角ではなく「自分が一番望むものの方向」を指し示します。ジャック自身が心の奥底で何を望んでいるのか、時に欺瞞を暴き、時に葛藤を浮き彫りにするアイテムとして全編にわたって機能しています。
バルボッサの愛馬ならぬ愛猿「ジャック」や、どこか憎めない名脇役コンビ(ピンテル&ラゲッティ)の行動一つひとつにも前後の繋がりがあり、一度観終えたあとに第1作へ戻ると、張り巡らされたユーモアと伏線の緻密さに舌を巻くはずです。