低体温症は、本人に危機意識がないまま進行する点が最も恐ろしい特徴です。周囲の人間がいち早く異変を察知し、適切な処置を行うことが救命の鍵を握ります。
以下のチェックリストに該当するサインが見られた場合は、即座に低体温症を疑ってください。
- 初期症状チェックリスト:
- 激しい身体の震えが止まらない、または逆に寒冷環境下で震えが急に止まった
- ろれつが回らず、会話の受け答えが不自然でつじつまが合わない
- 指先の細かい動作(ボタンの留め外しやジッパーの開閉)ができない
- 歩行時に足元がふらつき、まっすぐ歩けない
- 無気力、無反応になり、その場から動こうとしない
低体温症が疑われる人を発見した際、現場での応急処置には明確な「正解」と「禁忌(やってはいけないこと)」が存在します。
【現場で行うべき正しい応急処置】
- 直ちに119番通報:意識が朦朧としている場合は迷わず救急車を要請する。
- 寒冷環境からの隔離:暖かい室内や風の当たらない場所へ移動させる。地面に敷物や毛布を敷き、底冷えを防ぐ。
- 濡れた衣類の除去と保温:濡れた服を速やかに脱がせ、乾いた衣類や毛布、アルミ製エマージェンシーシートで体を包む。
- 体幹部(中枢)を中心とした加温:湯たんぽやカイロを使用する場合は、首の周り、脇の下、太ももの付け根(鼠径部)など太い血管が通る場所を温める。
【絶対にやってはいけないNG行動】
冷え切った手足をいきなり激しくマッサージしたり、熱い風呂にいきなり入れたりしてはいけません。末梢の冷たく酸性に傾いた血液が一気に心臓へと戻り、心臓の温度をさらに下げて致死的不整脈(心室細動)を誘発する「アフター・ドロップ現象」を引き起こす危険があるためです。温める際は必ず「体の中心部(体幹)」から徐々に温めることが鉄則です。